宮城紀行>>アンドリュー・ワイエスが描くオルソン・ハウスに触れて

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2011年4月に予定されていたけれど震災で中止になった
宮城県立美術館での「アンドリュー・ワイエス展」。

MoMa(ニューヨーク近代美術館)で、あるいは姫路市立美術館で見たときより
ずっとずっと深く心に刻まれる。
アメリカの国民的画家と言われているワイエスが繰り返し描き続けた好きな人と好きな場所。
風景と静物と匂いと季節・・・。

「できることなら私は自分の存在を消してしまって絵を描きたい。あるのは私の手だけ、という具合に。」
「あるものとじっくりつき合っていると、しまいには自分がそのなかに生きているような気がしてくる。」

オルソンハウスの納屋、屋根、寝室、玄関、台所。
住んでいるクリスティーナとアルヴァロ姉弟の暮らしと気持ち。
中腰での収穫作業が大変な、けれど生活の糧であるブルーベリー。
海と畑。
パイが焼ける匂いさえワイエスは描いている。

小舟にペンキを塗るアルヴァロ、干し草をかき集めるアルヴァロ。
好きな海の仕事を畑仕事に変えることを余儀なくされたアルヴァロと
障害を持ちながら大地を這って生きたクリスティーナの精神性が
天災を受けた東北の方たちと重なる。
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姉弟が亡くなり主を失くしたオルソン・ハウスと津波で流されたたくさんの家を思う。
冬のメイン州の寒さと東北の寒さを思う。

日本の面積のほとんどは森林や田園なのに都会に暮らしていたら
日本中が商業施設で埋め尽くされているような錯覚に陥る。
それはアメリカでも同じ。
美術シーンの中心ニューヨークにいるとアメリカ大陸の広大な大地のことを忘れてしまうけれど
田舎の広大な大地こそアメリカなのだ。

隣人の農婦ヘルガの裸体はとても豊満でエロティックだ。
美人でも若くもないヘルガを200点以上描き続けたのにはどんな魅力があったのだろう。
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絵が観る人の魂に響き、良い波動となって人は解放されていく。

大きな木造の朴訥としたオルソンハウス、風光明媚でもフォトジェニックでもない風景
踏みつけられた草、障害を持った女性、不ぞろいなブルーベリーに美しさを見出したことが
アンドリュー・ワイエスがアメリカの国民的画家と言われる所以かもしれない。

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アーティスティックな「カフェ・モーツアルト・アトリエ」。
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広瀬川に面したテラス席。
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どの椅子に座ろうかな。
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宮城に来て感じたこと、考えたことを反芻する。
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雲海を泳ぐ。
近い、遠いの感覚は、距離と時間と気持ち、それぞれに。
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by mint_jam | 2012-07-28 23:50 | art | Trackback

フルーツフルな日々。旅人だったり、レコガールだったり、オリーブ少女だったり。 美味しい食べ物と麻薬性の高い音楽にうずもれて、気持ちが動くままに写真を撮っていると幸せです。 日常や日常じゃないどこか。座右の銘は一食入魂。photo&essay:宮本ミント


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