モロッコ紀行>>ハマムでさっぱり、ええ男 恋の花も咲きまっせ
2016年 03月 19日
こんなのだったら、熱湯が入った魔法瓶をもらって浴室でお水と混ぜて使う方式
(ラオスやインドなどで経験済)の方がよほど暖かいのにと思う。
私が泊まったホテルはお湯は出るけどぬるいし、いつシャワーのお湯が切れるかも
しれないという不安を抱えて浴びる物悲しさったらない。
けど、そんなモロッコにはハマムという強い見方がある。
路地を歩いていると1970年代頃までの日本の銭湯点在率以上の頻度で
ハマムに出会う。
ハマムは仰々しい看板が出ていないし、牛乳石鹸提供の暖簾も出ていないけど
入り口の風情や、近くに薪が積んであるのですぐにわかる。
入り口は1カ所&中もひとつなので入浴の時間帯を男女で分けているようで
私が行ったところは16時を境に夕方〜夜が女性やった。
けど、そのような表記は見付けられなかったから、きっと暗黙の了解なんやろうね。
広場にほど近いハマムの前を通りがかると、「あぁ、さっぱりした。ハマム、最高♪」と
満面の笑みを浮かべて出て来たお兄ちゃんに遭遇。
「ハマムに入らなモロッコに来たことにならへんで。」
(お兄ちゃんの個人の意見です。笑)
mpodで巡回するのは「シャウエンはええとこだっせ。老舗のハマムがおまっせ。
垢擦りでさっぱり、ええ男 恋の花も咲きまっせ。」
(関西人なら誰もが歌えるグランシャトー@京橋のCMのフレーズで)
シャウエン最後の夜、一旦部屋に荷物や貴重品を置いて、広場近くのハマムに向かう。
トルコで行ったハマムが面白かったので、モロッコのハマムも興味深し。
ローカルハマム潜入レポの始まり、始まり。
入り口から湿り気漂う階段で地下に降りると受付&脱衣所がある。
珈琲牛乳と体重計がないのは残念だが、商売上手なおばちゃんが外国人用の
メニュー表を出してくる。
”マッサージなし”が50DH 、”マッサージあり”が100DH。
100DH払ってサボン・ノワール(黒オリーブ配合の天然の石鹸)と湯桶を受け取る。
ロッカー(扉付き、鍵なし)に脱衣した物を入れ、パンツだけを身につけ、暗い
前室(この部屋が何のためにあるのか不明。風除室の役目?)を抜けたら、
そこはもうハマムだ。
浴槽はなく、床がオンドル(朝鮮半島での床暖房)のようになっていて、中に入ると
息苦しくはないけれど、高温多湿。
サウナのような感じで徐々に汗が出始める。
めちゃくちゃ太ったおばちゃんが、小ぶりの浴槽のようなところに入ってる熱湯と
蛇口から出てくる水を混ぜ、大きなバケツに適温のお湯を入れてくれる。
そこから湯桶でお湯をすくい身体にかける。
と、すかさずおばちゃんが石鹸を手に付けて私の身体を洗い始める。
太古の昔からの製法で作りました。といった趣の石鹸は、匂いがなく、ぬるっとした
感触。
おばちゃんが各所を洗ってくれるたび、豊満なおっぱいが身体に触れ、その柔らかさ
享受する。
ひとしきり洗ってくれたあと石鹸を私の手に持たせて、パンツを指差すおばちゃん。
この中は自分で洗ってね。てことね。
ざぶざぶ荒っぽくお湯をかけたら、次は垢擦。
韓国などでよく見かけるのと同じ垢擦りタオルでゴシゴシと身体をこすって
ドヤ顔で丸まった垢を見せてくれる。
再び、ざぶーーーーん。
頭の上から一気に、ざぶーーーーん、ざぶーーーーん。
お肌、ツルツル。
続いて私が持参したシャンプー剤を直接頭に垂らす。
出し過ぎやっちゅうねん。(><)
「お客様、かゆいところはございませんか?」の声かけもなく洗髪終了。
自分で洗いたい・・・。
気持ちが通じたのか、お湯が入ったバケツと私の元から、別のお客さんへと
向かうおばちゃん。
心行くまで洗髪、バイ・マイセルフが終わると、防水シートを敷いた床に寝転ぶ
ように指示され、肩から腰にかけてマッサージ。
以上。
お湯が欲しくて熱湯がある場所に近づこうとしたら私がやるからって、私には
やらせてくれない。
お客さんが熱湯でやけどしたらあかんからかな。
ついでに蛇口からの水を湯桶に入れて飲む干すおばちゃん。
こんなに汗をかく労働をしているのに、とてつもなく体格がいいおばちゃんの
仕事ぶりを見ながら、しばしくつろぐ。
脱衣所に戻ると常連さんと思しき3世代。
おばあちゃんだけでなく、チビッ子孫娘も孫息子もみんな湯上がりバスローブを
身につけていてとってもキュート。
エステ発祥の地とも言われるモロッコ。
石鹸やオイルも美を謳うものが多く、フランス文化の影響なのやろうか。と疑問に
思ったけど言葉通じず。
気持ちよく帰る道すがら、ふと「高かったと思わへん?」
「せやなぁ、入るだけで600円って、外国人価格にしても高過ぎるよね。」
「入湯税が高いんかぁ?」
「こんなに高かったらモロッコ人は来ないやろ?」
「住民は温泉税が要らないから安いとか?」
印刷されたメニューを見せられ、疑問を持たずに支払った私たちがアホやったのか。
ハマムには1度しか行かなかったから、適正価格がわからないまま現在に至る。
地元の人たちはお風呂セットが入ったマイバケツを持ってハマムに行く。
ハマムの入り口の奥っ側には薪の山。
「見たいのかい?」
火を熾しているおっちゃんが手招きをして見せてくれる。
火加減を見ながら薪を補充したり、風を送ったり。
そのドヤ顔に仕事への誇りを感じる。
手仕事モロッコ、いいね。
グランシャトーの懐かCM