藤田嗣治 本のしごと〜文字を装う絵の世界〜@大谷記念美術館

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藤田嗣治の没後50年を記念しての展覧会は、裏回顧展な感じ。
エコール・ド・パリ(パリ派)のひとりとしての油絵画家ではなく、挿絵をした本と
挿絵の原画、妻や交友関係者に宛てた絵手紙、フジタと言えばの裸婦と猫。
陶器や手作りのおもちゃ、関西との交わり(中山岩太が撮ったポートレートや
アンスティチュ・フランセ関西や、そごう大阪店のために描いた絵の紹介など)
もあって、見ごたえたっぷり。

フランス語で書かれた浦島太郎などの日本昔話の挿絵や
宇野千代が創刊したスタイルの表紙もあったりして。
こういう仕事をするとき、日本に郷愁を覚えて、お茶漬け食べたい。
と思ったりしたのかな? なんて想像したりして。
ほとんどの銅版画は、絵だけフジタが描いて、刷るのは銅版画師に
やってもらっていたそうだけど、全行程自分で製作した
希少な作品の展示も。

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1番ワクワクしながら見たのは、妻や恋人や知人に送った数々の
絵手紙。
それにしても、こんな私的な郵便物を、よくぞ集められたね。
ほぼ日書いて(描いて)投函しているときもあったようで、まるで絵日記。
根っからの絵描きやってんね。
何人もの女と猫を愛して、パリを愛して、フランスに帰化したフジタの
知らなかった人となりが絵を通して感じられる、とてもいい展示。
今まで見た、どのフジタの展示より、いいぞーーーーー。

レオナール藤田のレオナールって自称と思っていたら、洗礼名やってんね。
(ソラシラナンダ)
フジタにとって、日本はどういう位置付けの国やったの?
日本からフランスに国籍を変更したのには、どんな思いが
あったの?
画家として名を成したフジタがこれほど多くの本の挿絵に
も力を注いだのには、どんな理由があったの?
いつだって、目の前の女に本気で惚れていたの?

家に帰って取ったのは、堀内誠一さんの「旅と絵本とデザインと」。

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大山幸子先生による銅版画(ドライポイント)のワークショップに
応募したけど残念ながら落選。
いつかやってみたいな、ドライポイント。

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大谷記念美術館より
2018(平成30)年は藤田嗣治の没後50年にあたります。
これを記念して西宮市大谷記念美術館では、藤田の画業の中でも
挿絵を中心に紹介する展覧会を開催いたします。
1886(明治19)年陸軍軍医の次男として東京に生まれた藤田嗣治
は、東京美術学校(現在の東京藝術大学)の西洋画科で学んだ後
1913(大正2)年フランスに渡ります。
1919年にサロン・ドートンヌに出品した6点すべて入選し、
翌々年同展に出品した作品が人気を博し、パリ画壇での評価を確立しました。
エコール・ド・パリの代表的な画家として活躍し、
とりわけ1920年代初頭に発表した乳白色の肌をもった裸婦像は
藤田独自の表現として当時のヨーロッパで高い評価を得ました。
1929年17年ぶりに日本に帰国しましたが翌年にはパリへ戻ります。
その後1932年中南米を回り、1933年に日本に帰国。
1939年~40年に渡仏しますが、第二次世界大戦中は
日本で制作活動を続けます。
大戦後はアメリカ経由で1950年にフランスに渡りました。
1955年にフランス国籍を取得し、その後は日本に戻ることなく
1968年スイスのチューリッヒで亡くなりました。
フランスで画家としての地位を確立した藤田は、絵画だけでなく
挿絵本の仕事にも積極的に取り組みました。
ヨーロッパでは挿絵本の歴史は古く、書物としてだけでなく
芸術作品としての価値も有していました。
特に19世紀後半から20世紀にかけて、希少性の高い挿絵本は
愛書家たちの収集対象となっていました。
藤田がパリに渡った当時のヨーロッパは挿絵本の興隆の時代で
あり、ピカソやシャガールらによる挿絵本が出版され、その
人気は高まる一方でした。
1919年、藤田嗣治は初めての挿絵本『詩数篇』を手がけます。
藤田は生涯を通じて50冊を超える挿絵本をフランスで手がけ、
30点以上が1920年代に出版されました。すでに挿絵を手がけて
いた他の画家たちをも凌駕するこの仕事量は、当時のフランス
での藤田の人気を反映したものであると同時に、藤田自身が挿絵
本の世界に魅せられていたことを物語っています。
本展では戦前のフランスで発行された藤田の挿絵本、
1930年代から40年代の日本での出版に関わる仕事、
1950(昭和25)年フランスに移住した後の大型豪華本の
挿絵などの「本のしごと」を中心に、絵画や版画といった「絵のしごと」、
さらには藤田が友人に送ったハガキや絵手紙、手作りのおもちゃ、
陶芸作品なども同時に展示し、藤田の幅広い制作活動を紹介いたします。
なお、本展覧会は当館での開催後、目黒区美術館(東京)、
ベルナール・ビュフェ美術館(静岡)、東京富士美術館(東京)
へ巡回いたします。
当館の独自企画として「藤田嗣治と関西」というテーマ展示を
予定しております。
藤田の関西での仕事、関西の芸術家たちに与えた影響などを
検証します。
by mint_jam | 2018-02-04 23:50 | art | Trackback

フルーツフルな日々。旅人だったり、レコガールだったり、オリーブ少女だったり。 美味しい食べ物と麻薬性の高い音楽にうずもれて、気持ちが動くままに写真を撮っていると幸せです。 日常や日常じゃないどこか。座右の銘は一食入魂。photo&essay:宮本ミント


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