ディア・ドクター>> 「その嘘は、罪ですか。」

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「”偽りモノ”という言葉がはらむそんな曖昧さを物語として面白く見せられないかなというのが、
企画の出発点となりました。」と西川美和監督。

「その嘘は、罪ですか。」
映画「ディア・ドクター」にはキャッチコピー通り、たくさんの「嘘」が出てくる。

一番の嘘は過疎化の医者がいない村にいる”名医、伊野”は実は医師の免許を持っていなかった。
ということ。

看護師も薬会社の営業の人も村の人たちも実はニセ医者だと気付いていたはずなのに
気づかないフリをしていた。
だって村から医者がいなくなったら困るから。
伊野は荒稼ぎをしたかっただけかもしれないが頼ってくれる村人たちへの情はあったし
最善を尽くそうとしていた。

それなのに”ニセ医者”ということが公になったとき手のひらを返して昨日までの”名医”を非難する。

”え~~~!あんたら今まで伊野先生にどんだけお世話になってん!!”とツッコミつつも
そういう矛盾や正当化する部分があるのが人間や集団というものかと腑に落ちる。
そして自分にもたくさんの矛盾やグレーな部分があることに気が付く。

村人や診療所に関わっている周囲の人々は法は犯してはいないけれど
伊野と同じだけ罪を犯していると思う。

過疎地で延命措置を取られない状況と最新医療をもって管で生かされる状況。
どちらが正しいのだろう。
正当なことが必ずしも幸せな結果をもたらすとは限らない。という思いと
にかぁ~っと笑う無免許医師、伊野(鶴瓶ちゃん)の顔と
田畑の緑を背景にあぜ道を走る赤い自動車が鮮やかに記憶に刻まれる。


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シネリーブル神戸開館10周年記念特集で「ディア・ドクター」を上映しているので
封切りの時に書いた感想メモを取り出してきた。

記念上映は「ディア・ドクター」「アメリ」「めがね」 「プレシャス」「クイーン」「百万円と苦虫女」
「百万円と苦虫女」以外は全部シネリーブル神戸で見た。
シネリーブル神戸はmintの心の中では今でも居留地の復興のシンボルだぁ。
by mint_jam | 2011-09-27 23:32 | movie | Trackback

フルーツフルな日々。旅人だったり、レコガールだったり、オリーブ少女だったり。 美味しい食べ物と麻薬性の高い音楽にうずもれて、気持ちが動くままに写真を撮っていると幸せです。 日常や日常じゃないどこか。座右の銘は一食入魂。photo&essay:宮本ミント


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