趣味は仕事

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「趣味は仕事。仕事中に死ねたら幸せ。」とおっしゃっていた元・上司が本当にそうなってしまった。
定年まで勤めた会社に再雇用され65歳で満了のあとも建設会社に請われて現役で勤めてはった。
その日も同じように・・・。

時々ばったり会うとお茶をして話をして・・・。
昨年末に電話をしたのだけれど私が切ろうとしているのに30分くらいしゃべってはった。
工事現場の仕事はクライアントの工程の都合上、徹夜することが多々あるのだけれど
「今でも徹夜することがある。」なんて言いはるから、強く辞めるように言ってはみたけれど
ご本人は自己過信していたかったのかもしれない。
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私は大正区を散歩する楽しさを何度も話したけれど私が感じる大正の魅力はわかりはらへんようやった。
チャイが美味しい「チャイ工房」のことも。

お葬式の会場は上司のおうちに近い大正区役所の傍やったから最後のお見送りをしてから
「チャイ工房」に行った。
思い出すともなく思い出すために。
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その上司と出会ったのは20年以上前のこと。
希望が叶い設計、設計監理、工事管理をする部署に異動出来て喜んだのは束の間で
竣工までに2~3年かかかるような商業施設の現場の内装監理室の一員として常駐することになり
専門用語と業界常識に戸惑う「4K」(危険、汚い、厳しい、帰れない)の日々が始まった。

上司にとってもクライアントにとっても初めての大きなプロジェクトやったから
仕事のやり方も手探りの中、図面の修正と議事録作成と青焼きコピーに明け暮れた。

「このおっさん、後ろから殴ったろか?!」
と思うくらい仕事のことで言い合いになったことは数知れず。
「オレは上司や!上司の言うことを聞け!」と怒鳴られたこともあった。

普通やったら飛ばされて(異動させられ)縁もそこまでとなるか
あるいは気まずくなって仕事に支障が出るのだろうけれど
「茶でも行こか。」
と私を誘い出し何やかや話しておしまい。やった。

まだ躯体(建物の骨組み)しか出来ていない現場で「この柱と柱の間隔はどれくらいあるか、わかるか?
この仕事がしたかったら寸法間隔を身に付けなあかんで。」とか
「図面や工程表は自分で書けるようにならなあかん。」とか
「見積書は送るのではなく持って行って説明せなあかん。」とか
教えられたことはいっぱいある。

とにかく腰の低い方で
「クライアントの若い人たちにも、ちゃんと接しなあかんで。彼らはやがて偉くなって
仕事をくれるんやで。」と言うてはった。

そんなこんなあれやこれや日頃言うてはったことは私の細胞に刷り込まれているから
会社の経営方針により私たちが所属していた部署は廃部になり私は異動することになったけれど
その上司から受け継いだ教えや姿勢は何かの形で会社の利益に役立っている・・・はず。

利益に関わる粗相をしたら「時給から引いとくからな!」と言ったり
>>私ら時給ちゃうし。
お客さんにスターバックスをオートバックスと言ったり
>>カタカナが苦手なんよね。
朝礼が終わったら昼メシの時間やったり
>>これは語り草やった。
いい店の基準が腹いっぱいになる店やったり
>>食べることが大好きでデパ地下を熟知していた。
語録やエピソードがたくさんある方やからこれからもいっぱい思い出すことがあると思う。

お疲れ様でした。
ゆっくり休んでくださいね。

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写真はチャイ工房でのひとこま。
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by mint_jam | 2012-02-06 23:03 | other | Trackback

フルーツフルな日々。旅人だったり、レコガールだったり、オリーブ少女だったり。 美味しい食べ物と麻薬性の高い音楽にうずもれて、気持ちが動くままに写真を撮っていると幸せです。 日常や日常じゃないどこか。座右の銘は一食入魂。photo&essay:宮本ミント


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