熊谷守一(クマガイモリカズ)展~小さな画面に無限の世界~@伊丹市立美術館

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ヒバリちゃんが『「熊谷守一展」に行く。』と言う。
「猫の絵とか描くねん。カッコいい人やよ。mintも好きやと思う。」
と教えてもらって一緒に見に行く。

どんな人なんやろう?と検索したら「画壇の仙人」と。
見た目はモネ。>>カッコいい!!
「仙人」に連動してmpodでレオンラッセルが流れる。

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1880年生まれ。
子供の頃はお金持ちやったけどお父さんのお妾さん2人と一緒に暮らし
お父さんが亡くなってからは貧乏続き。
42歳で24歳の作曲をする女性と結婚し息子、娘に先立たれ97歳で亡くなった。
>>「いつみても波乱万丈」!!

ブースごとに書いてある守一の言葉が興味をそそる。
殆どが4号で描かれているのにはどんな信念があるのかと思いきや
「スケッチ旅行に行くときの絵の具箱にちょうど入るサイズやったから。」
>>ここは椅子からころげ落ちる場面やな。

「風景を見ていると裸婦が見えてくる。」らしく
スケッチ旅行に行って描いたと思われる裸婦が幾枚もあるのだけれど
「おとうさん!ほんまにスケッチ旅行に行ってたん?」と奥さんに突っ込まれる守一を想像(妄想)。


心を捉えた作品は「土饅頭」と「月夜」と「ヤキバノカエリ」
「土饅頭」はクジラの骨と花が刺されてる土を盛っただけの囚人のお墓。
「月夜」は自分の目の前で飛び込み自殺をした妊婦を思い出して描いたという海辺で膝を抱える女性。

「ヤキバノカエリ」は娘の遺骨を火葬場から持ち帰る父(守一)と子ども2人を描いた作品で
背景には枯れ木のような焼き場の煙を思わせる棒が数本と家の屋根。
道を行く3人はのっぺらぼうだけど1人だけ顎に白いヒゲがある。

骨壷を覆う布の白とヒゲの白。
この2つの白に陽が当たっている。(ように見える。)
陽は太陽の陽でもあり先に亡くなった息子の名前でもある。
悲しいはずの状況から生まれた絵なのに見ていると穏やかな気持ちになってくるのは
父が亡くなった娘と息子と一体となろうとしている印象を受けたからやと思う。

亡くなるまでの30年間は外出せずカマキリや蟻、猫、鳥、花、などの
身近な「いのち」をグラフィックっぽく描いている。

線の描き方と配色が魅力的。
雑音ならぬ雑線、雑色がない。
あるのは心地の良い余白。
心を研ぐと見えるものも研がれるだろうか。

文化勲章を「お国のために何もしなかったから」と辞退したのは
勲章が嫌いということもあるのだろうけれど
兵隊に行かなかった(歯が数本なく徴兵を免れた)ことで
お国のために死んでいった人たちへの申し訳ない気持ちが
ずっとあったのでは?と想像。

「欲を言うなら”もっと生きたい”」と言っていたのは
戦争で亡くなった人や子供の分まで生きたかったからかもしれない。
18歳年下の妻と少しでも一緒に暮らしたかったからかもしれない。

2人の共通の趣味の碁を打っている写真はとてもほほえましい。
田中一村にもこんなええ奥さんがいてたら良かったのに・・・。と
おせっかないことを思ったのでした。

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伊丹と言えば「山は富士。酒は白雪。」の小西酒造。
そして地酒「老松」。
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「老松」の前にいたポニー。
飼い馬で100円で1周乗ったりは出来きませんでした。
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by mint_jam | 2012-05-23 23:42 | art | Trackback

フルーツフルな日々。旅人だったり、レコガールだったり、オリーブ少女だったり。 美味しい食べ物と麻薬性の高い音楽にうずもれて、気持ちが動くままに写真を撮っていると幸せです。 日常や日常じゃないどこか。座右の銘は一食入魂。photo&essay:宮本ミント


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