「演劇1」「演劇2」>>想田和弘監督、平田オリザを観察する

想田和弘監督の新作「演劇1」と「演劇2」を第七藝術劇場で見る。
2本で≒6時間。

想田監督の映画は目の前に起こっていることを撮影し編集する「観察映画」という手法。
台本もナレーションも文字も音楽もないから観客は監督が観察したものを見ることによって
何かを感じることになる。

今回の作品は劇作家にして劇場・劇団の社長・大学教授、平田オリザの仕事を観察。
掴みは劇団の事務所の壁に掛けられた額。
「まず食うこと それから道徳」
座右の銘なのか?
平田オリザの共犯者になったような気になる。

「演劇1」は演劇が出来る過程を「演劇2」は劇団経営という編集構成。
平田さんが思い描いている通りになるまで「そこ、もうちょっと強く。」
「もっとゆっくり。」を俳優は何度も繰り返す。
ドリフターズのいかりや長介さんや伊東四朗さんを連想するシーン。
平田さんは自分で作曲した曲をオーケストラで演奏する指揮者のようだ。

稽古中に劇団員の還暦を祝うくだりは感動的。
なんたって平田さんも俳優も俳優になりきるんだもん。

平田さんが発したひっかっかった言葉。
「ぼくは演劇を見て元気になって欲しいなんてちっとも思っていない。」
「藝術は心の病の安上がりな予防策。」
「演劇はコミュニケーション能力を養う。」

相田さんはネコ好きなのか。
前作の「PEACE」でもそうやったけど挿入歌の代わりのように、のそっぉ~とネコ、登場。
お疲れ様~な、いいタイミングで。

平田さんは常に「お金になること」を構想している。
演劇は商業文化であり、お金を得ることでより良い作品を作ることが出来る。
そのために公共の仕事を積極的に引き受けている。
演劇によって経済も心も潤う。と考えている。
文楽への敬愛の念からロボットの役者を使う戯曲を作ろうとしている。
やりたいことがはっきりしているから出し惜しみはしない。
そのためには政治家も巻き込む、どこにでも行く、なんだってやる。

強烈に駒場アゴラで平田さんの戯曲を見たいと思った。

+++++
平田さんは1962年生まれ。
同じく62年生まれの前原誠司さんと「62年生まれは犯罪者が多い」話をするシーンがある。
そのことについてどうしてなのかを想像したことがある。
たくさんの見識者が分析しているけれど平田さんの論も読んでみたい。
1962年はビートルズ、ストーンズ、ディランが出てきたロック好きにとっては
特別な年でもある。
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by mint_jam | 2012-11-01 23:18 | movie | Trackback

フルーツフルな日々。旅人だったり、レコガールだったり、オリーブ少女だったり。 美味しい食べ物と麻薬性の高い音楽にうずもれて、気持ちが動くままに写真を撮っていると幸せです。 日常や日常じゃないどこか。座右の銘は一食入魂。photo&essay:宮本ミント


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