「夢売るふたり」が売った夢

カフェ&ギャラリー 閑花」でワイン片手に映画会、今月は西川美和監督の最新作
「夢売るふたり」。

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結婚詐欺を繰り返す夫婦(実行する夫、市澤貫也=阿部サダヲ・シナリオを考える妻
市澤里子=松たか子)と騙される女性たちのお話。
始まりは複数の女性の朝の風景。
これが後に、複数の女たちを騙す貫也と自分が演出をしておきながら嫉妬する里子の心理描写に
繋がっていく。

騙されるのは、結婚していないと家族になじられるOL、風俗嬢、不倫相手に
手切れ金をもらって失意に落ちる女、幼い息子を抱えたシングルマザー
「何をやっているんだろう?」と自問自答を繰り返す寂しいウエイトリフティング選手と
悪人どころか雑多な東京でさまざまな軋轢に押しつぶされそうになりながら
精一杯生活している女性ばかり。
特にウエイトリフティング選手(ひとみ=江原由夏)の存在感と
松たか子の吸い込まれそうな目力(めぢから)での演技は圧巻!

前作の「ディアドクター」同様、最初から騙そうと思っていたわけではなく
騙せるかも?と思える状況が続きいつの間にかそれが日常になってしまう人間の慣れの
恐ろしさが描かれている。
夢売るふたりが女たちに売った夢は何やったんやろう?
最後の最後、観客に向かって目を見開く里子はどういう心理やったんやろう?
後々になって感想がいくつも現れたり、伏線に気付いたりするのが西川監督映画の醍醐味。

見終わって・・・「何で、松たか子は後ろから警察が来たことがわかったんやろ?」と。
「何でやろね?」って、どこかにヒントはあるはずやけど9人全員が見逃している。
「あの時、松たか子はパソコンを見ていたよね。その画面に映ったのに気付いたんじゃない?」
と言ってみて自分なりに納得したものの確認したくて仕方がない。
前作の「ディアドクター」同様、間を置かずに2度見かな。
次回作も楽しみだぁ。

夢売るふたり 公式サイト →
西川美和監督インタビュー →
by mint_jam | 2013-04-20 23:58 | movie | Trackback

フルーツフルな日々。旅人だったり、レコガールだったり、オリーブ少女だったり。 美味しい食べ物と麻薬性の高い音楽にうずもれて、気持ちが動くままに写真を撮っていると幸せです。 日常や日常じゃないどこか。座右の銘は一食入魂。photo&essay:宮本ミント


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