「DANCER」を聴く >>山下達郎ライブ@フェスティバルホール

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「フェスを壊すのはカーネギーホールやオペラ座を壊すようなもの。」と言って
悔しがりながらツアーを再開したのが2008年。
それから5年、新生フェスティバルホールでの杮落とし公演が決まった。

フェスティバルホールに特別な思い入れを持つ達郎はこの2日間にきっと”特別”を
差し込んでくれるはずと、ファンの期待は最高潮。

「新・東京ラプソディ」に続いて「LOVE SPACE」。
1曲目、2曲目のイントロ当てクイズ(^笑^)で気持ち沸騰、吹き零れ。
いつも通りのようでいて空気が違うやん。
ライブハウスっぽい緩さが漂うのはライブハウスでも演りたいと願う達郎の意図するところやね。

~僕らの東京ラプソディ~ の東京を大阪に変えて歌ったり、「レッツダンスベイビー」の曲間に
「大阪で生まれた女」や「大阪しぐれ」をちょこっと演ったり、大阪のディスコから売れ始めた
そのきっかけとなった「ボンバー」を演ったりと、大阪のお客さんを大切にしている
達郎らしい配慮が随所に。

「マサヤン、聴こえてるか?」と「スィートホーム大阪」を挟んだのは
RCA(ふたりの共通のディレクターは小杉理宇造さん)で同期やった桑名正博さんの
冥福を祈ってのこと。
「FUTARI」を演奏したのはピアノの佐藤博さんの死を悼んでやね。

「(こけら落とし公演は)ボクの前がチューリップ、ボクの後はアリス。(笑)」
とか
「60歳になったら役所から、年金は65歳からだけど60歳から受け取りたかったら
 出す用紙が来た。」
とか
「毎月文楽を見に大阪に来ていてミナミの居酒屋に行くのが楽しみ。
 〆鯖やラッキョが美味しいのは大阪の酢が甘いからだと思う。
 どこかでお目にかかったらよろしく。」
とか、
そんな話を交えながらフルメンバーのバンドを背にして声高らかに歌う山下達郎さん。

「久しぶりの曲が多いけれど・・・初めて演る曲を・・・。
 ボクは今まで政治について語って来なかったけれど、この曲は抽象的だけれど70年安保の頃
 東大確実と言われていた高校のひとつ上のブラスバンド部先輩(朝鮮人)が万景峰号に乗って
 帰るのを上野駅まで見送りに行ったときのことを抽象的に歌った曲です。
 今、生きているかどうかもわからない。会えるものなら会いたい。」

 「・・・えっ・・・DANCER?」

DANCERが収められている2枚目のアルバム「SPACY」は一番最初に買ったアルバム。
内省的でクロっぽく、ちっとも商業的でないけれど30年以上経った今も一番好き。
詩に込められた思いを朴訥と話す達郎の気持ちに接することが出来たことは
とても感慨深く、この場に居られる幸せに満ちる。

ホールについては「返りが強いのは今後の課題。音が馴染むまでには10年くらいかかるかも。」
と言いつつ
「席数は2700席と前と同じだけれど天井が高くて3階が出来てステージと客席1列目が
 近くなったね。」
「ボクは使うことがないけれど緞帳がすごいよ。」
と少し下げて見せてくれたりして、新フェスに好印象を持ってはる様子。
旧フェスの形見に持ち帰ったライド・オン・タイム用の拡声器もお返しするらしいしね。

「還暦を迎えた。」と言われても実感など沸かず、26~27歳の達郎と
16~17歳の自分が交差する。
これほど見続けても、まだまだ見続けたいねん。
達郎のコンサートは魅力的!
常習性のある麻薬みたいなもんやねん。
せやから75歳の三波春夫さんを目標に、まだまだ歌い続けてね。
画策してチケットをこの手に渡してくれたエチミに心から「ありがとうの花束を。」

+++++
達郎さんからのメッセージ。
「いよいよ 新しい扉が 開きます。楽しみです。」
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by mint_jam | 2013-05-05 22:10 | music | Trackback

フルーツフルな日々。旅人だったり、レコガールだったり、オリーブ少女だったり。 美味しい食べ物と麻薬性の高い音楽にうずもれて、気持ちが動くままに写真を撮っていると幸せです。 日常や日常じゃないどこか。座右の銘は一食入魂。photo&essay:宮本ミント


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