ジェニファー・L・スコット著「フランス人は10着しか服を持たない」

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著者のジェニファーは父親の仕事の都合で子供の頃からヨーロッパを訪れていたという
土壌を持ち、フランスに留学するくらいだから、もともとフランスに興味があった
のだと思うけどアメリカ西海岸の消費文化に何の疑問も持たずに暮らして来て
自分(個)を大切にする文化の洗礼を受けて感化され、その感動を綴ったブログ
本を出版することになるきっかけやったという「フランス人は10着しか服を持たない」。
英語のタイトルは「Lessons from Madame Chic」。

フランス人はどこの国の人たちより個を大切にする。
自分に似合うものを知っているし、人と同じということに価値を見いださないし
自分のことが一番好きだし大切だし、誰かををうらやましがったりしない。
似合うもの、似合う色を知っている。
次々と新しい物を買っわないし、新旧に関係なく気に入った物を長く大切に使う。
高価なものも仕舞っておいたりせず、普段の暮らしで自分たちのために使う。
衣食住において、良質な自分にそぐったものを両手に収まる分だけ持つ。

10着っていうのは、各季節に自分に似合う良質な服が10着くらいあれば、
十分オシャレに着回せる(10着にはコートや下着は含まれない)と指南している
けど、10着という数にこだわっているわけでも、たった10着で1年を過ごそうと
言っているわけでもない。
だからこのタイトル、本の購買意欲をソソラせる狡い感(巧い感とも言える)があるけど、
欧と米の生活価値観の違いを知ったことによって自分自身や暮らしへの対し方が変わった
ジェニファーの意気揚々さが素直に生き生きと伝わってくる。

例えばダイエットに関して。
フランス人はダイエットって言葉を口にしない。
ダイエットはしない。(興味がない)
自分の体型を気に入っている。
「え〜、こんなん食べたら太るやん。」は御法度。
甘いもんにはちゃんとしたバターやお砂糖を入れる。
太りすぎないのは動いているから。だという。

エレベーターに乗らない。(というかエレベエーターが付いているビルが少ない。)
ちゃんとしたものを作って、その料理を美味しく食べるために間食をしない。
お金持ちのマダムシックでさえ、掃除も買い物も自分でやる。
必要な食材を毎日買いに出掛ける。
スーパーマーケットでまとめて買うのではなく、新鮮で安全な食材を対面販売の店で買う。
(自然といっぱい歩くことになる。)
上質なものを少しだけ持ち、日常で大切に使う。
そうありたいな。と思う参考になることが詰まった良いテキスト。
HOW TO本を超えたHOW TO本。

先日、写真家の高木松寿さんがおっしゃっていた言葉と重ね合わせる。
戦後日本にテレビが普及しアメリカのTV番組茶の間を席巻したことで、アメリカの
冷蔵庫や車や家に憧れを抱かせ、消費文化が素晴らしい文化だと洗脳されたのだ。
その洗脳は今も日本の(特に都会において)脈々と続いている。


by mint_jam | 2015-10-06 22:14 | book | Trackback

フルーツフルな日々。旅人だったり、レコガールだったり、オリーブ少女だったり。 美味しい食べ物と麻薬性の高い音楽にうずもれて、気持ちが動くままに写真を撮っていると幸せです。 日常や日常じゃないどこか。座右の銘は一食入魂。photo&essay:宮本ミント


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