映画「未来よ こんにちは」@シネリーブル神戸

ナタリー(イザベル・ユペール)は、結婚25年目、高校の哲学教師。
18歳からの付き合いの同業者の夫に「好きな人が出来た。」と言われ、
あっけなく離婚。
認知症の介護に振り回され続けた実母が亡くなる。
猫アレルギーなのに母の黒猫を引き取る。
手がけた教科書は、今時こんな堅苦しいのは売れないと言われ
気晴らしに映画を見に行けば、気味悪いオトコに夜道でキスを迫られる。
目をかけている卒業生(男子)に恋人が出来た上、非難(批判)され
現役学生はデモやストライキに夢中。
夫と使っていた大切に読み返していた本が留守の間に持ち出されたり
バスの車窓から、愛人と仲睦まじく歩いているのを目撃したり。
子供達は成長し、自分を必要とする人は何処へ。
老いには抗えず、気付けば”おひとりさま”。
と、細木数子さんに見てもらわなくても大殺界間違いなし。なことが
これでもか!ってくらいに起きる。

ブルターニュの海。
長年丹精込めて育ててきた別荘の庭の植物。
死ぬまで一緒と思っていた夫と別れて暮らす寂しさより、愛してやまない
別荘への喪失感の方が大きいと感じているということは
これらを愛おしむ時間が、長きにわたってナタリーを再起動させてきたんやね。

「人生が終わるわけでもない。」と言い
どの事例にも誠意と熱意を持って向き合うけど、
過剰に気を張って、頑張りすぎないでいられるナタリーが、自然体でかっこいい。
思いっきり泣くところも、すっごくいい。
辛い状況下にいるナタリーを応援したくなっても、可哀想だと思うことは
なかった。
それがこの映画の魅力のひとつ。

心にひっかかったのが、父(ナタリーの夫)の浮気(本気か)に気づいていた娘が、
父に「お母さんはまだ気づいていなけど、どっちを取るか決めて。」って言う場面。
フランスでは、よくあることなのかな。

原フランス語タイトルは「L'AVENIR」(未来)。
英語タイトルは「Things to Come」。
日本語タイトルは「未来よ こんにちは」
私なら日本語タイトルは「自分のために花を買う」かな。
うまくいかない日には自分のために花でも買ってみようかという気になるし
そこはかとなく、そそられるでしょ?

この服、好き。
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読んでから見たのと見てから読んだブログ記事、2つ。
映画:未来よこんにちは
『未来よこんにちはL'AVENIR』−狭まる未来のクローゼットに何を入れるか。




by mint_jam | 2017-06-16 23:37 | movie | Trackback

フルーツフルな日々。旅人だったり、レコガールだったり、オリーブ少女だったり。 美味しい食べ物と麻薬性の高い音楽にうずもれて、気持ちが動くままに写真を撮っていると幸せです。 日常や日常じゃないどこか。座右の銘は一食入魂。photo&essay:宮本ミント


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