映画「ともしび」@シネリーブル神戸

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映画は、シャーロット・ランプリング演じるアンナの叫びから始まる。



「わたしはあの時、いったい何を失ったのだろう」
説明らしいものはなく、正解は、わからない。
けれど、明確に描かれいないからこそ想像が膨らみ
観た者は物語を作り、そう描かれていたかのような
錯覚に落ちる。

会話少なく、質実に暮らす夫と妻。
ある日、とらわれの身となる夫。
夫が不在となったあとも、お金持ちの家で
家政婦をし、スポーツクラブと演劇のワークショップに通い、
質実に暮らす妻、アンナ。
夫に懐いていた飼い犬は、妻には懐かない。
孫の誕生日に手作りのケーキを持って息子を訪ねるが追い返される。

夫はどんな罪に問われているのか。
息子は何故両親を受け入れないのか。
打ち上げられた巨大なクジラは、アンナを象徴しているのか。
冒頭の叫びは、アンナの心の歪みを象徴しているのか。

さざなみ」に通じる、夫への不信感。
やり場のない怒り。
ラストシーン。
列車に飛び込むのかと思ったけれど、想像は外れた。

俳優が肉体全てを使って内面を表現する演劇のワークショップのような
一人芝居の舞台を観ているような、そんな映画だと思った。


近年公開された、シャーロット・ランプリング主演映画の邦題が
どれもひらがな4文字なので、混乱する。
休暇中のビーチから姿を消した夫と・・・は、「まぼろし」
長年連れ添った夫の元恋人の遺体が氷河から見つかった・・・は、「さざなみ」
「ゆらめき」でも「よろめき」でもなく、最新作は「ともしび






by mint_jam | 2019-02-21 20:39 | movie | Trackback

フルーツフルな日々。旅人だったり、レコガールだったり、オリーブ少女だったり。 美味しい食べ物と麻薬性の高い音楽にうずもれて、気持ちが動くままに写真を撮っていると幸せです。 日常や日常じゃないどこか。座右の銘は一食入魂。photo&essay:宮本ミント


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